V.生活習慣病の分野

 高血圧、痛風、肥満、脂肪肝、高脂血症などの生活習慣病にも漢方はよく適用される。

1.高血圧症の漢方治療

 漢方は西洋薬のように血圧を急激に下げるわけにはいかないが、頭重感。肩こり、動悸、のぼせなどの高血圧症の随伴症状を改善し、心身全体の調和を図ることによって血圧を安定させることがある。副作用は少ない。当院で常用する方剤を紹介する。
 実証の場合は、三黄瀉心湯、大柴胡湯、柴胡加竜骨牡蛎湯など、虚実間で七物降下湯、釣藤散など、虚証の場合は、八味地黄丸、真武湯などが使用される。

2.痛風の漢方治療

 痛風の漢方治療は、患者の陰陽虚実と病状、とくに疼痛を伴う関節炎の状態に基づいて処方する。

1)急性期の漢方治療
 実証の場合は越婢加朮湯、虚実間の場合は疎経活血湯、また虚証の場合は、桂枝加朮附湯などがよく使用される。

2)慢性寛解期の漢方治療
 実証の場合は大柴胡湯、防風通聖散、虚証の場合は防已黄耆湯、当帰四逆加呉茱萸生姜湯などが使用される。
 当院では、発作寛解期での痛風患者12例に対し、防已黄耆湯加木通車前子を投与し、良好な効果を得、日本東洋医学会に発表した。

3.肥満の漢方治療

 肥満は生活習慣病をはじめ、さまざまな病気を引き起こす誘因になっている。ある統計によると肥満の人が非肥満の人に比べ、生活習慣病になる危険度は、糖尿病五倍、高血圧症三・五倍、肝硬変三倍、痛風二・五倍、脳・心臓血管障害二・五倍と高くなっている。特に内臓脂肪型肥満は要注意である。ダイエットの秘訣は、いかに摂取エネルギーを押さえ消費エネルギーを増やして体脂肪を蓄積させないことである。特に、筋肉を増やし、基礎体謝を上げることがポイントである。最終的に、体脂肪の溜らない体ができあがって、健康的かつ美しくダイエットし、高血圧、高脂血症、糖尿病、痛風などの生活習慣病から逃れることである。

 肥満の漢方治療は患者の陰陽虚実に応じて対応する。実証の場合は大柴胡湯、防風通聖散などを、虚実間の場合は小柴胡湯、桂枝茯苓丸などを、虚症の場合は防已黄ギ湯、当帰芍薬散などを用いる。特に陰虚タイプに漢方は有効である。本院では。生活習慣病に伴う肥満に対し、漢方療法に食事療法と運動療法を加え、良好な結果を上げている。院長自身の体験で、漢方ダイエットを行い三ヶ月間、10kg減量成功、高血圧、高脂血症も改善、その後、リバウンドもなく、健康状態を維持している。(詳細は 養生について の ダイエット奮闘記を参照)