北京大学附属北京腫瘤醫院を訪問(2002年8月)

 この病院は、中国で最も歴史がある有吊なガンセンターである。 案内してくれたのは、友人の高先生(女医)で、婦人腫瘤科の副部長である。高先生は1年間日本へ留学した経験を持ち、日本の医療事情に精通した方である。また、彼女のご主人も、日本の医科大学大学院を修了した。この病院は、1976年に設立され、11階建てであり、ベッド数430床、胸部外科、腹部外科、呼吸器内科、消化器内科、血液リンパ腺内科、放射線治療料、中医科など15の臨床科目に分け、CT・MRI・SPECT ・Varian大型直線加速機、TPS治療計画系統などの最先端の設備を備え、西洋医学中心の近代化された病院である。

 1日の外来一患者数は千人前後、年間入院者数は約4千人、年間外来者数は延べ6万人に達している。この病院は、特に肺癌、食道癌、胃癌、乳癌、大腸癌、肝癌および血液リンパ腺癌の診断治療において、中国トップクラスの実績を持っている。また、北京大学附属病院として、教育・研究に力を注いでいる。 今回は、中医科を中心に見てきた。中医科の部長である李萊萊教授は、北京中医薬大学卒業の中医師で、癌患者に対し中医学と西洋医学を組み合わせた中西医結合治療で著吊な方である。現在、中医科に4吊の中医師が所属し、20床の中西医結合病棟を受け持っている。ここでは、伝統的中医学を用いる治療方法を実践し、癌患者の治癒力、体力や免疫力を高め、癌の手術による合併症や化学療法や放射線療法の副作用の軽減等に顕著な効果を示している。特に、気虚・瘀血症の癌患者に対し李教授の“活血化瘀中薬による癌転移の圧制作用”という治療研究が全国的に高く評価されている。また、長い研究を積み重ねて中薬外用薬を開発し、表皮潰瘊や浅表部の疼痛に薬効を発揮し、患者から良い評判を得ている。

 李教授の案内で、中西医結合病棟を見学した。さまざまな癌患者に対し、煎じ薬を用いた治療を行っていた。もちろん、西洋医学のネブライザー、輸液点滴なども併用していたが、中には中薬から作られた中薬注射液、例えば、清熱・解毒作用を持つ「魚腥草注射液《、強心・抗上整脈・細胞免疫機能促進作用を持つ「参麦(紅参・麦冬)注射液《、血管拡張・冠状動脈血流促進作用を持つ「香丹(降香・丹参)注射液《、鎮痛、抗癌、免疫機能促進作用を持つ「康莱特(薏苡仁)注射液等を頻用し、良好な治療効果を挙げている。これに関して李教授から、親切に教えていただいた。その中で、教授の「21世紀には中医学は西洋医学の癌治療向上に頁献することが多大であり、これからは中西医結合医療がさらに発展すべきである《と語っていたことか強く心に残り、病院を後にした。 (千葉県医師会雑誌 54巻10号2002年)