ダイエット奮闘記

平成13年2月上句、香港のある研究所より「予防医学と生活習慣病」というテーマで,講演の依頼があった。日時は5月のゴールデンウィークに合わせてくれた為.あまり考えずに承諾した。講演の構想は、東洋医学の未病から入り、食養や運動などの養生をもとにして、生活習慣病を予防・治療するという考えであった。

1.肥満の伸間入り

しかし、私自身は、昨年の冬から体調がすぐれず、鼻出血が数回あり、毎朝の散歩も度々中断し、仕事疲れのストレスから夕食を食べすぎる状況であった。その結果、体重が徐々に増加し、2月10日には体重77.5kg(身長171cmでBMI26.5%)、体脂肪28%.総コレステロール242mg/dl、血圧146-152/88-94oHgで、肥満(日本肥満学会肥満度分類によると1度の肥満)、高脂血症、高血圧を伴った立派な生活習慣病の持ち主になってしまった。「死の四重奏」と呼ばれる肥満・高脂血症・高血圧・高血糖のうちの三つも持っている状態で、香港で、健康促進・病気予防の話をするには、迫力がないことを痛感した。そこで、講演内容の準備もさることながら、まず、自分の養生を見直して、私自身の生活習慣病の予防・治療を実践するほうが先決との結論に達した。

2.ダイエットの実行

最初に、食事日記を1週間つけてみた。解ったのは、朝食350〜500kca1、昼食600〜800kcalそこそこであったが、タ食は1400〜2000kca1であり、1日の摂取総カロリーは300〜800kcalもオーバーしていた。それまでの私は、普段間食もせず、お酒もあまり飲まず、週2回テニスをしていることで過信し、摂取ェネルギーに無関心になっていた。そして.自分の不養生を深く深く、反省した。

2月17日からダイエット開始し、次の1〜4を実行した。

1)毎日体重と体脂肪を測定する。

2)肉中心の食事を避け、野菜と魚中心の食事に変更する。

3)タ食のカロリーを半分に減らす。

4)週2回のテニスを継続し、その上、トレッドミールを使って速歩40分を週4回実施する。

1週間後、体重75.5kg、体脂肪25.5%に減少した。しかし、あまりにも急速に減量したため、舌炎、口内炎、疲労感が出現した。そこで栄養のバランスを考え、アミノ酸スコアが100のプロテイン(フォーエバー、ライト)150kcal分量と脱脂牛乳150mlを追加した。2週間後には、体重74kg、体脂肪24%に減り、舌炎、疲労感は消失し、口内炎も改善した。しかし、ダイエットのストレスのせいか、不安感、顔面紅潮と心下痞がみられるようになった(私の虚実は虚実中間よりやや実証)。これに対し、三黄瀉心湯(コタローエキス、4.0g)兼黄連解毒湯(コタローエキスカプセル、2C)の服用を開始した。3週間後、体重73.0kg、体脂肪22.5%と、減量は順調に進んだ。不安感、顔面紅潮と心下痞も改善し、口内炎も消失した。

4週間後、体重72.8kg、体脂肪22.2%となり、減量はやや停滞気味となったが、体調は良好であった。しかし、脂肪と一緒に筋肉も減ってきたことに気づき、改めてダイエットの困難さを実感した。そこで筋肉を増強させ、基礎代謝を増やすため、朝晩の筋肉トレーニング(ダンベル・エクササィズ、上体起こし、腕立て伏せ)を迫加した。さらに、痛めた筋肉の修復と体脂肪の燃焼を助けるため、テニスと速歩運動をする30分前に、アミノ酸を含むサプリメント(明治乳業、ヴァーム)を服用した。その後、減量は順調に推移した。

6週間後、体重71.8kg、体脂肪20.5%に減少し、8週間後、体重70.4kg、体脂肪19%となり、
10週間後(香港に出発する前日の4月28日)には、体重69kg、体脂肪18%、BMI23.5(肥満度分類の普通体重に改善、20数年前の学生時代の体型にもどった)、総コレステロール206mg/dl、血圧134〜142/80〜86oHgとなり、ダイエットの達成とともに高脂血症と高血圧も改善した。

生活習慣病に対し、食事療法・運動療法の大切さと有用性を実感した。そして、シェイプアップした姿と、しかも自分のダイエットの体験を踏まえつつ、養生と生活習慣病との密接な関係を示しながら、香港講演を無事済ませてきた。

3.香港・マカオ・広州

香港は、1997年中国に返還前後、社会・経済に対する不安期があったが、現在は繁栄を取り戻していると実感した。香港の漢方医療事情も変わりなく、着々と発展し、街のあちこちに立派な漢方専門薬局と中医師診療所が見られた。香港の人々は、「虚・実」「陰・陽」などの漢方の基本理論を理解し、漢方薬を病気の予防・治療によく用いている。また、医食同源の考えで、生薬や薬草を薬膳、薬酒、お茶、デザートの形で、美顔、強壮、強精、老化防止などに愛用し、漢方の知恵が生活の中に生かされていると感じた。

また、今までの公用語は広東語と英語であったが、最近は北京語が徐々に普及し始めている。

その後、香港からマカオ、広州に回った。マカオでは、景気はあまりよくないように感じられたが、異国情緒を満喫できたことが印象的であった。広州では、古来「食は広州にあり」のとおり広州の料理は本物で、美味しかった。珠海⇒広州⇒深せんの間は、立派な高速道路が開通していて、数多くの現代都市と工業地帯が見られ、中国の急速な発展ぶりに驚かされた。

ダイエットに関しては、7月現在、食事制限と運動回数をやや緩和し、三黄瀉心湯兼黄連解毒湯を継続している。体重は67〜69kg、体脂肪17〜19%を維持し、リバウンドもなく、また、総コレステロール値は正常範囲で、血圧も安定している。

常に良い生活習慣を身に付けて、理想体重をめざして、毎日楽しくダイエットに励んでいるこの頃である。

(漢方研究 2001年8月号より)