私の健康法

謹賀新年。お蔭様で今のところ元気で、白髪一本もなく、同年代の中でも若い方だと 自負していもしたが、45歳を過ぎるとやはり年には勝てず、老眼の徴候が少しずつ見 えてきました。そろそろ体を大事にしなければならないと感じ、ここ数年、私なりの 健康法を試みてきたのでご紹介いたします。

まず、太極拳を中医学院出身の中国の先生に就いて習うことを始めました。しかし、 幼少の頃、少林寺拳法師範の父より少林寺拳法の教えを受けたせいか、太極拳の入り方 も少林寺拳法と同じように、「動作」、「技法」、「型」などの技ばかりに目をつけて、2、3年間 、稽古してきましたが、なかなかマスターできませんでした。最近、やっと判ってきたこ とは、太極拳は少林寺拳法と違って、「技」よりも「気」の鍛練の方が大事ということです。

すなわち、動作・技法を通じて姿勢調節(調身)をし、呼吸の整えを通じて呼吸鍛練(調身) をし、意念集中を通じて、心身のリラックス(調心)を作り、最終的に体内の「気」を練ります。 1日中気分良く過ごせます。

次に、私の漢方の恩師、藤平健先生直伝の健康法を述べます。先生は享年82歳で亡くな る2週間前まで、毎日各地からの多くの難病を診療し、また夜遅くまで原稿を書いたり勉強 されていました。 その上、精力的に月数回、漢方の講演会や研究会の講師も努められており ました。

先生はお酒が好きで(楽々5〜6合)、好き嫌いなく、何でも口にされました。このような 先生の元気の源は、朝の速歩と八味丸を飲むことでした。朝の速歩というのは、先生が毎日 早朝(台風や大雨以外)、千葉のご実家の登戸から千葉タワー往復、約1時間を速歩、ただし、 ただの散歩では駄目、走らない範囲でできるだけの速歩で歩くことです。

その成果としては、東松山市が毎年行う「日本スリーデーズマーチ」(毎日50キロずつ3日間) に、80歳になっても、何回も完歩なさいました。私も先生に何度となく誘われましたが体力 に自信がなかったため、とうとう実現しませんでした。シカシ、今年に入って、一念発起して 朝の速歩をし始めました。自宅は西葛西ですので毎日早朝(好天気だけ)、荒川の土手に沿って 葛西臨海公園までのコースを速歩で約1時間歩きます。

目の前に東京湾の水平線が広がり、空と海と緑の織りなす風景が満喫できます。葛西臨海 公園は面積約80ヘクタールの広い公園です。有名な水族館のほか、鳥類園、長い海岸線、数多くの 広場、池などがあり、毎日ちがったコースが楽しめます。一番気に入っているのは鳥類園と 三日月干潟に挟まれた海岸線です。

早朝は人が少なく、季節ごとに数多くの鳥が見られ、さまざまな花、海の景色や香り、特に、 富士山を一望できるのは、最高です。もう一つは八味丸を飲むことです。藤平先生は40歳を 過ぎた頃より、毎日、八味丸を飲まれていたようです。先生の著書『八味丸の秘密』(千曲 秀版社)によると、八味丸は中高年に対し健康保持、老化防止、老化回復などに役立ち、老人 性白内障、老眼、前立腺肥大、糖尿病、腰痛、インポテンツなどに用いられます。もちろん、 臍下不仁、尿利異常、口渇、虚労などの「八味丸の証」が見られる症例に効果が顕著です。 また、中年以降の方は腎の気がだんだん虚してくるので八味丸証がよく見られるようです。

先生が愛用されたのは、ウチダの八味丸M(2g/包)でした。白湯でのんでもよいですが、 八味丸の出典である『金匱要略』に、「酒にて服す」との指示があり、お酒で飲むと効果を 増すようです。私も45歳を越えた頃、八味丸を飲み始めました。いまだ1日1包み(目安 としては40歳代1包、50歳代2包、60歳代以上3包)ですが、確かに老眼の進行がやや止まり、 また、冬の下肢の冷えも改善しています。

以上が私の健康法ですが、今後も継続していくつもりです。その成果は、次の辰年(還暦) にご報告します。

(千葉県医師会雑誌 第52巻第1号より)