漢方夏ばて対策


― 市川エフエム放送 「健康アドバイス」コーナー に出演  (2005.7.6) ― 
 
Q: 夏ばてとは、どういう状態ですか。
A: 夏に、高温・多湿で、熱帯夜が続き、不眠気味になった上に、仕事などで体力を消耗したときに起きます。特に、猛暑の時期と、夏の後半から秋口によく見られます。
症状としては、倦怠感、疲労感、食欲不振、下痢、体重減少などが見られます。特に虚弱体質な人に起きやすいので、体力の低下した老人や重症の病気を抱えた方は注意が必要です。
     
Q: 夏ばてはどうして起きるのですか。  
A: 原因はいくつかありますが、
1、汗をかきすぎて体内の水分やミネラルの減少した場合。
2、暑さによって胃の消化機能が低下し、食欲がなくなり必要なカロリーと栄養が取れなくなった場合。
3、暑さとクーラーによる室内・室外の温度差が大きいため、体温調節する機能が低下した場合。
4、熱帯夜が続くと睡眠不足や異常な寝汗などで、体力と脳神経の働きが低下した場合などに起きます。
     
Q: 夏ばてに対し、先生の専門である漢方医学ではどういうふうに考えていますか。
A: 漢方医学の古典で、約2000年前に書かれた「黄帝内経」という医学書の中に、夏ばての病態は「体の中に熱気が入り込むと、其の暑さによって体が傷つけられておきる」(傷暑)と書かれています。すなわち夏ばての状態は2000年前の中国ですでにあったということです。
     
Q: 2000年前の中国の夏ばてと、現代の日本の夏ばては同じと考えて良いでしょうか。
A: 良い質問ですね。勿論2000年前の中国と、現代の日本では、自然環境も生活状態も大きく変化しています。ですから2000年前の中国の夏ばてと、現代の日本の夏ばては大きく変っています。勿論夏の暑さは其の頃と現在も変わりないと思います。しかし、現在の日本では
1、冷蔵庫、自動販売機、コンビニの普及により、いつでもどこでも冷たい飲料水や食べ物を取れます。
2、クーラーの普及により、真夏でも発汗の少ない低温環境で過ごすことが多くなっています。そのため現代の日本の夏ばては相当変化していると考えます。
     
Q: 具体的にいうとどのように変ってきたのでしょうか。
A: 1、現代人は冷たい飲み物・食べ物で、身体を中から冷やしています。猛暑で胃腸の機能が低下しているところに、冷たい飲食物の取りすぎにより、胃腸の機能がさらに低下し食欲不振や下痢になるのです。汗の少ない環境で、水分を取りすぎ、体の中に水分が停滞し(漢方医学でいう水滞)、むくんだり体が重く感じたります。
2、冷房のかけすぎで、身体を外からも冷やすため(漢方医学では寒証)、体全体が冷えて血行が悪くなったり、新陳代謝が低下して、強い冷え、倦怠感、疲労感を生じます。特に冷え性がある多くの女性は夏の後半から秋口にかけて、体調を崩す大きな原因となります。
     
Q: 漢方的夏ばて対策を教えてください。
A: 1、暑さに対しては、長期間の直射日光を避けること。服装(クール・ビズ、帽子、かさなど)、適度な水分補給、消化の良い食事、身体を冷やす効果のあるゴーヤ、生姜やねぎをくわえた冷奴、ぬるめの入浴などで対処しましょう。
2、水分の異常貯留(水滞)に対しては、冷たい飲料水などの取りすぎに注意し、利尿効果のあるスイカなどの瓜類を適度に食べ、朝夕の軽い運動などでよい汗をかくことも大事です。
3、クーラー病に対しては、一日中クーラーをかけないこと、また最低温度を27〜28度に設定することも大事です。特に冷え症の人は、いつも余分に身体を覆うものを持ち歩きましょう。食べ物は、身体を冷やす生食を避け、果物の取りすぎに留意し、野菜は温野菜にし、カレーやうどんなど身体を温める食事をとる工夫が必要です。
     
Q: 宮崎先生お勧めの夏ばて対策を教えてください。
A: 私は台湾で生まれ育ったし、誕生日は8月ですので夏は大好きです。私の夏ばて対策として、
1、早朝の太極拳で、全身の気を活発にします。
2、15分の昼ねで午前中の疲労を回復します。
3、蓮の実と緑豆で作ったデザートを取り、アロエジュースを飲み、体の中にたまった熱気を冷まします。
4、夏ばてを感じたら充分な休息と自分に合った漢方薬を服用します。
今日は時間が余りないので、夏ばてに対処する漢方薬について紹介しませんが、今後機会があればお話したいと思います。
     
Q: 最後に先生からリスナーの方にメッセージをお願いします。
A: 1、夏ばては、熱中症を除けば、西洋医学から見ると病気とはいえない場合がほとんどですが、漢方医学から見ると立派な「未病」の状態であります。余り軽視しないで、十分な対策を取るこが大切です。
2、夏ばての対策は、8月の末に発症してから対応しても手遅れになります。
3、対策は7月の初めの今からしておくことが大事です。
一緒にがんばって、今年の猛暑を乗り越えましょう。