不老長寿の仙薬

“ 不老長寿の『仙薬』とは" 若さをたもってかつ不老長寿であることは,古来から万人の強い願望でした。 特に強大な権力を握った人は,その権力を使って不老長寿を手に入れようと異常 なくらいの努力をしました。

秦の始皇帝もその一人で, 紀元前二世紀ころに強大な軍隊と高度な戦術により, 広大な中国を統一しました。ほとんどの権力を手に入れた始皇帝は,自分が築づいた 広大な帝国を末永く維持するために,若さを保ち,かつ不老長寿を強く願うようにな りました。当時中国には,中国の人々が行かないような山奥や遠い島には仙人が住ん でいて仙人は不老長寿の『仙薬』を持っているといわれていました。

そこで始皇帝は,『仙薬』を手に入れることができれば,自分も不老長寿でいられ ると考え,多くの家来を山奥や遠い島に送り,『仙薬』をてにいれてくるように命令 しました。その中の一つに除福を東方の島である瀛州に派遣したという話があります。 どうも瀛州は日本のことらしく,山陰地方には除福の墓が残っているそうです。

もちろん,始皇帝の求めていた『仙薬』は手に入らなかったようです。 始皇帝は『仙薬』を探させる一方,暴政をくり返したため,官僚や民衆の反発を招き, 彼はクーデターを恐れるようになりました。さらに,一昨年の中国映画『始皇帝暗殺』 にあったように暗殺者に狙われるようになり,ストレスがたまる一方となり,ついには 五十才で死んでしまいました。

今から考えて見ると,始皇帝が探させていた不老長寿の『仙薬』とは,『有形の薬』 ではなく,『無形の養生の教え』ではなかったのではないでしょうか。すなわち,『無形 の養生の教え』とは,ぜいたくな食事(肉,酒など)を控え,活性酸素の消去作用を持つ粗食 (ゴマ,サツマイモ,唐辛子,ほうれんそうなど)にし,常に人に感謝し,許す気持ちをもって ストレスのたまらない生活を送ることであったのではないでしょうか。

(千葉県保険医新聞 第302号より)